初診
名前を呼ばれて入った診察室は、いわゆる「診察室」ではありませんでした。
内科や眼科などと違い、診察用の機械もカーテンもくるっと回る椅子もない。
そうか精神科だと必要ないよな、と
初めてかかった自分にはちょっと新鮮でした。
まるで大学教授の研究室で面談をするかのように、
書斎机を挟んで、先生と向かい合っての診察でした。
先生は男性ですがPMSの相談はたくさん診てきたと見られ、
手慣れた感じでしたが決して雑な感じではなく、
「うん、うん、なるほど」と質問をしながら、私の答えをPCに書き留めていきます。
2年住んでも東京に馴染めないこと
職場の人と上手く付き合えないこと
人と距離感が近すぎると途端にバランスを崩して険悪になること
職場のプレッシャーや緊張で体がガチガチになっていること
生理のたびに周りにあたってしまうこと
落ち込みが激しく、死にたくなること
生理が終わって数日は楽だが、またすぐ元に戻ってしまうこと
ぽつぽつとですが、自分の苦しんでいることを伝えました。
先生は目を見てじっくり聞くというより、ドライにどんどん聞いていくのですが
辛いことを口にしている自分には返ってそれが楽に感じました。
「辛かったね」なんて一言でも言われたら、泣いてしまいそうだったから。
ある程度私の話を聞いてから、先生はPCを打つのをやめてこう言いました。
「今聞いたところで、2点のポイントがあると思います。
まず一つは、職場のこと。常に気を張って緊張状態にある。適応障害ですね。
もう一つは、生理前の症状。まず先にこっちから良くしていくのが良いと思います。」
「気持ちの落ち込みというのは、セロトニンが不足している状態。
これをお薬によって、セロトニンを増やしてあげることで改善していく。
この生理前の症状が良くなると、全体の症状が良くなる人もだいぶ多いです。
生理前の苦しいのが毎月積もり積もって、鬱状態になっている場合もあります。
なのでまずは強くないお薬で、セロトニンを増やしてみましょう」
あっそうなんだ、と自分には意外でした。
というのも、私は職場でストレスが多いから結果PMSが酷いのかと思っていたのです。
でも、PMSが酷いのが塵のように積み重なり、
自己嫌悪がどんどん溜まって、職場でもそれがストレスとして現れている可能性もあるんだ、
と初めて気づきました。少し目から鱗でした。
まずは一日一錠、「セルトラリン」という薬を飲むことになりました。
まず一週間試して、副作用を見て、量を調整していくそうです。
眠くなったり胃腸に違和感を感じる場合があるのだそうで、寝る前に飲みましょう、ということになりました。